
こんばんは。今日も楽しく飲んでますか?常連客のおっさんです。
入国禁止令、控訴裁判所も「一時差し止め」を支持
2017年1月27日に発効された大統領令「外国からアメリカ合衆国へ入国するテロリストから国家を保護する」、通称「入国禁止令」がアメリカを混乱に陥れて早2週間。
地裁に引き続き、政府側が控訴した控訴裁判所でも「入国禁止令の一時差し止め」が判決として下されました。
政府側は当然これに反発し最高裁まで戦う意思を示しています。
トランプ大統領も「法廷で会おう。国の安全保障が危機にひんしている」なんてツイートしているらしいですね。
自国でこんな混乱おきたら嫌だなあと思いつつも、傍から見ていると面白い。
移民受け入れの流れになっている日本もいずれ通る道だとは思っています。
好奇心と後学のために、2月10日までのこの騒動の動きをまとめてみました。
1.1月27日 大統領令発行と混乱の発生
まずは大統領令発行直後の動き。
1-1.アメリカの各国際空港で混乱とデモ
発効された大統領令は即日効果をもち、アメリカの各国際空港で混乱が生じます。
対象となる7か国からアメリカを訪れた人々が入国管理国に入国を阻まれ(拘禁され)たというニュースが大々的に報道されます。
アメリカ各地で大統領令に反発するデモも発生。
アメリカ、日本のマスコミは嬉々としてこれを報道(他の国はわからないです)。
全米が大統領令に反対に見えますが、米国世論調査では大統領令賛成派が反対派を上回っています。不思議ですね。
1-2.各国首脳もコメント
欧州各国やカナダの首脳がこの大統領令に反発するコメントを発表しています。
ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、トルコ、カナダは概ね「差別はNG」という旨のコメント。
イギリスは「入国可否を決めるのは当事国の問題で口出すことじゃない。でも、やり方がまずい」というコメント。
難民受け入れを拒否してEU脱退を決めたイギリスなので、全面的な反発は避けた内容です。
我らが日本の反応ですが安倍首相は「当事国の問題なので、コメントは差し控えたい」という感じのコメントです。
現時点で移民難民受け入れを極端に制限している日本なので、大統領令に賛成も反対も言うのはナンセンス。
他国の内政問題に口を突っ込むような内政干渉を避けるのは当然なので、合格点な回答であると思います。
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2.大統領令無効の提訴の動きが広がる
大統領令無効を求める動きから控訴裁判所での判決まで。
2-1.1月30日サリー・イエーツ司法長官代理を更迭
イエーツ氏は大統領令を守る必要がないと司法省に伝えていたため。
後任には連邦地区検事のデイナ・ボエンテ氏が起用。
アメリカの司法長官というのは日本で言う「法務大臣」に相当します。
司法長官が何の手続きも踏まずに「上からの指示を無視していいよ」というのは職権濫用、職場放棄と言われても仕方がない。
例えその志が正しかったとしても、「司法長官」という職責を放棄している。
この行動によって、これ以降も大統領の命令に従わない可能性がある人物という認識にもなってくるわけです。
そんな人物を置いておくことは組織として健全ではない。更迭は当然の結果です。
この更迭劇をもって「トランプの独裁」だなんだと言う声がありますが、お門違いな批判と言えます。
ちなみにイエーツ氏を任命したのは前大統領バラク・オバマ。
代理として留任していたのは、上院議会が次の司法長官の承認をまだ下していなかったためです。
想像ですが、元々トランプ大統領と主義主張の違うスタッフだったんじゃないでしょうか。
2-2.ワシントン州をはじめとした各州が大統領令を提訴
1月30日にワシントン州の司法長官が大統領令の無効を求めて連邦地裁に提訴したことを皮切りに、ニューヨーク、マサチューセッツ、バージニア州などがこれに続きます。
2月4日にワシントン州はこの訴えを認めて、大統領令を一時差し止める判決を下します。
流石訴訟大国すばやい判決で驚きますね。
一時差し止めの理由は「入国禁止令により雇用、教育、経済活動に大きな損害を与えており、混乱が大きいため」という内容です。
この判決はアメリカ全国で効力を持ち、大統領令の一時差し止めが実行されています。
ちなみにマサチューセッツ州では、差し止めの申し立ては退けられたそうです。
ここで注意が必要なのは、判決では「社会に与える影響が大きいから差止めね」としか言っていません。
法律のどこそこに抵触するとか、まして違憲だとかいったことは一言も言っていません。
地方裁判所は違憲合憲を判断する裁判所ではないので、憲法には触れられていません。
法律の話も出ておらず、「社会的影響」という曖昧な理由で差し止めを決定しています。
政府はこれを不服として直ちに控訴裁判所に控訴しています。
2-3.控訴裁判所が大統領令一時差し止め支持
2月10日、控訴裁判所が地裁の判決を支持し「大統領令一時差し止め」の取り消しを求めた政府の訴えは退けられました。
高裁は判断の理由として、「移動の自由、家族離散の回避、差別から逃れる自由における公共の利益」を重視。また、テロ対策として入国禁止の対象となった7カ国について「(出身者が)米国内でテロ攻撃を実行した証拠を政府はまったく示していない」と大統領令を厳しく批判した。判事3人が全員一致で地裁命令を支持した。うち1人は共和党のブッシュ元大統領(子)に選ばれた。
この判決を受け、政府は最高裁判所へ上告する姿勢です。
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この大統領令への批判を考える
ここしばらくネットを眺めたところ多く見られた批判とそれに対する管理人の勝手な解釈や想像による意見・反論です。
1.入国禁止のイスラム7か国に、911テロを起こしたサウジアラビアが入っていないのはおかしい
しばしば指摘される話ですが、911テロを起こしたテロリストの首魁「オサマ・ビン・ラディン」はサウジアラビア出身。
にも関わらず今回の指定7か国に含まれていない。おかしい!
サウジアラビアには「トランプの施設があるからだ」「トランプの利益優先」云々という批判があります。
これの回答は以下。
ⅰ.トランプ大統領の利益云々はわかりませんが、サウジアラビアとアメリカは同盟関係にある。
→同盟国をいきなりシャットダウンは普通ありえません。それこそ外交上の大問題になります。
ⅱ.指定7か国はオバマ政権で選定され、トランプ政権はそれを踏襲しただけ。
→今回の大統領令はオバマ政権で作られた内容を補強したものです。
7か国の選定に問題があるとすれば少なくともオバマ時代からの政府方針をひっくり返して判断する必要があります。
トランプ憎しのせいで邪推が過ぎる批判じゃないでしょうか。
2.宗教・人種を差別している
指定7か国以外にもイスラム教徒は世界に無数にいます。
この大統領令では、7か国以外のイスラム教徒も入国禁止になったという話は聞いたことがありません。
これはイスラム教に対する差別・迫害に相当するのでしょうか?
今回の問題に関する人種差別という観点も同じです。
他の国出身のアラブ人etcは入国を拒否されていません。
合憲違憲はこれから最高裁で判断されることですが、差別・迫害と判断するのはちょっと違うんじゃないの?と思いますね。
3.大統領令の意義を見誤っていないか
「入国禁止」の部分ばかりピックアップされていますが、この大統領令の骨子は「入国審査の厳格化」にあると思っています。
指定7か国はこの「入国審査の厳格化が終わるまで、入国を待ってね」というのが大統領令の内容です。
そこのとこの理解は万全でしょうか?
それを踏まえて考えれば、私がアメリカに住む白人であればこの大統領令に「賛成」しますね。
ガバガバで誰でも入れる入口の審査を厳しくするということに反対する理由はありません。
一方で、私がアメリカで就業ビザで在住ていて丁度アメリカを離れていた7か国の人間であれば「大反対」です。
例えば会社の用事で隣国カナダに出張し、アメリカに帰国したところ入国できないと言われる。
生活の拠点であるアメリカに帰ることがきない上に、カナダに居続けられるかもわからない。冗談じゃあないですね。
後者の事例で考えると「社会的影響」という話はもっともだなとは思います。
まとめ
とりあえず現時点までの経過と一個人の意見です。
冒頭にも書きましたが、いずれ日本でも発生しうる事案なので興味本位はさておき注目しておき大事件と思っています。
マスコミが酷く叩きすぎるので、判官贔屓なのか最近トランプ大統領が好きになって来ました。
政治経験のない馬鹿だが、直言と行動力で突き進む「ヒーロー」かただの「バカ」なのか。
と期待した矢先に「イバンカブランド」をコンウェイ大統領顧問が宣伝したというのは「やっぱアカンわ」ってなりますね。
大統領が言わせたのか、大統領顧問の勇み足なのかはわかりませんけどね。